神奈川県知事 黒岩祐治 2017年活動報告
「津久井やまゆり園再生基本構想」を策定
「津久井やまゆり園再生基本構想」が議会で了承されたことを受け、家族会のみなさんに私から直接お話をさせていただきました。
事件直後に家族会の要請を受け、私自身が現地での全面建て替えの方針を打ち出しながら、その後、障がい者団体や専門家のみなさんから、「大規模施設は時代錯誤、小規模施設で地域移行が時代の流れだ」との強い反対の声を受け、再検討を余儀なくされたこと、 そしてその結果、当初の方針を撤回せざるをえなくなったことについて、心からのお詫びをしました。そして、辛い事件を契機に「さすが神奈川県は福祉先進県」と言われるような新しい福祉の姿 を共に作っていくことをお誓いいたしました。
家族会のみなさんも理解を示して下さり、ホッとしました。困難を極めた仕事でしたが、県庁職員が家族会のみなさんに真剣に寄り添ってきた成果だと思います。
東京2020オリパラ費用負担・役割分担合意
オリパラの費用負担・役割分担について、永らく決まらず膠着状態が続いていましたが、東京都以外の開催自治体間で連携をとり、調整を進める枠組みをつくったことで、局面を打開し、国や東京都などの関係者間での合意に漕ぎ着けることができました。私が主張してきた「立候補ファイルに書かれた原理原則通り」が全員で確認され、仮設施設・運営費は開催県の負担から除外されました。セキュリティや輸送などの経費について、開催県に負担させようという提案が都からはありましたが、これも拒否することができました。オリパラ成功に向けて、前向きに動き出すことができましたので、全力を挙げて取り組んでいきます。
ME-BYO(未病)が大きな広がりに!
神奈川県では超高齢社会を乗り越える社会をつくるために、未病コンセプトに基づく取り組みを政策の柱においてきましたが、その未病の考え方が、閣議決定された国の「健康・医療戦略」に明記されました。また、第2回「ME-BYOサミット神奈川in箱根」を開催し、WHO前事務局次長のアサモア・バー氏や宇宙飛行士の向井千秋さんらの基調講演に始まり、未病をいかにして見える化し、その指標を策定するかなど、国内外の権威が集まり討議を重ねました。
閉会時には、100歳になっても、健康で生きがいと笑顔溢れる健康長寿社会を目指すため、「ME-BYO未来戦略ビジョン」を世界に発信しました。そして、WHOが提唱するエイジフレンドリーシティ(高齢者にやさしい都市)構想に、これまで日本の参加は2都市だけでしたが、県内から19市町が一斉に参加し、WHOとの連携も一層強化されました。
神奈川とベトナムの交流拡大
ベトナムを訪問し、本年2度目となるフック首相との会談をはじめ、政府要人と連日会談し、観光・投資に関するセミナー、ハノイ医科大学との連携に関する覚書調印などを行いました。訪問の成果として、ICT市場でベトナム第2位の規模を誇るCMC Corporationや ソフトウエア開発及びオフショアでのITアウトソーシングなどを中心に行うNTQ SOLUTIONの本県進出を決定することができした。
また、文化スポーツ観光大臣や駐日ベトナム大使をお迎えして、大盛り上がりで幕を閉じた第3回ベトナムフェスタ。その模様は国営放送でも放送され、ベトナムにおける神奈川の存在感は圧倒的に大きくなりました。
戦略的広報の積極展開
県庁のインターネットチャンネル「かなチャンTV」を駆使して、県庁職員による県庁アナウンサーとともに、県のさまざまな情報を毎日日替わりで発信。また、メッセージ性のある動画も折にふれ、制作してきましたが、今年は海外向け企業誘致を目的とした「”Together”-A Message from KANAGAWA-」(約35万超ビュー)や共生社会推進イベント「みんなあつまれ2017」のテーマソング動画「SO LIFE GOES ON」(約40万ビュー)などが大ヒットしました。
さらに「ともに生きる社会かながわ憲章」の新聞広告が、神奈川新聞広告賞最優秀広告賞に自治体単独広告が初めて選ばれるなど、戦略広報が大きく前進しました。
国家戦略特区を活用した施策続々
神奈川県から国に提案した「家事支援外国人受け入れ事業」が、本格スタートしました。女性の活躍を推進し、女性が輝く社会を目指します。また、以前、神奈川県提案の「地域限定保育士試験」がきっかけとなり、国の保育士試験が年2回になりましたが、県はさらに3回目の国家試験を地域限定試験として実施すべきと提案し、実現しました。合格機会を拡大し、待機児童解消を目指します。
さらに、宅配を完全自動走行で実現するロボネコヤマトの実証実験を全国に先駆けて実施しました。これらはいずれも国家戦略特区を活用した規制緩和によって実現する施策であり、国からも高く評価されています。