「当事者目線の障がい福祉」を目指すために、重ねている障害当事者との対話の一環で、今日は県立中井やまゆり園を訪問しました。
ところが、直前にここでの長時間の居室施錠という虐待の事実と、職員の暴力によるとされる“骨折事案”が報道され、その事実確認も兼ねた視察となりました。
居室施錠されている感覚過敏の強度行動障害の利用者のみなさんとも交流しました。
確かにただちに開放して、他の障がい者さんと一緒にというのは難しいとは思いました。
しかし、今のままの支援を続けていたら、彼らにとってはここが「終の棲家」にならざるをえません。
地域移行への通過型施設にすることを目指している我々の方針とは明らかにかけ離れています。
事前にテラン広場という別の施設に一泊体験入所した女性の動画を見た上で、ご本人に会いました。
その落差に愕然としました。テラン広場では日中は施設の外にわざわざ出かけていって仕事をすることが基本となっています。
そこでは満面の笑顔で働いていた彼女が、粗暴だからといって、終日、部屋に閉じ込められているのは絶対におかしいです。
粗暴なのは何か原因があるはずです。そこにしっかりと目を向けて、一人の人間として対応すれば、粗暴ではなくなるかもしれません。
逆に粗暴だからといって、閉じ込めたり、縛り付けたりしたら、もっと粗暴になるに違いありません。
強度行動障害というのは、支援者が作り出している側面もあるのではないかと思いました。
職員一人一人が一生懸命に利用者の皆さんに向き合っていることは確認できました。
しかし、利用者の今ある障害にどう対応するかで精一杯で、これからどういうプロセスを通じて、彼らを地域で自立していけるまでに支援していくべきなのか、解を持ってないとも思いました。
“骨折事案”については、キチンとした検証を続けていくことしました。利用者同士のトラブルが原因であったことも十分にありえると感じました。
「当事者目線の障がい福祉」を目指す上で、我々こそがモデルケースをここで作り出していかなければなりません。
そのためには、うまくいっている事例を職員に体感してもらい、実践していってもらうしかないと思いました。
障害当事者としてプロジェクトメンバーにもなっていただいているピープルファーストの小西さんにも一緒に視察してもらいましたが、彼のコメントがすべてを語っているように思いました。
「支援の仕方によっては、彼らはもっと活躍できるんじゃないかな」